
人手不足の中で求人を出す前に、採用直後の業務と将来の変更範囲を分けて整理。厚労省の記載例を使い、求人票へ転記する項目と公開前の確認手順をまとめました。
求人票では、採用直後の仕事内容・勤務地と、契約期間中の変更範囲を分けて記載します。業務内容を変える予定がない場合も、ハローワークの案内に沿って「変更範囲:変更なし」と記入します。有期契約を更新する場合は、更新の判断基準と、上限を設ける場合の通算契約期間または更新回数も確認してください。
この記事は、求人票を自分で作る小規模事業者の代表や採用担当者向けです。最初にすることは、採用責任者と現場担当者で、採用直後に任せる仕事・勤務地と、契約期間中に予定する変更を照合することです。予定を確認できない項目は、求人を出す前に責任者へ戻して確認してください。
ハローワークの求人情報の入力案内では、将来の配置転換で異なる仕事に就く見込みがある場合は変更後の業務を入力し、変更予定がない場合は「変更範囲:変更なし」と記入するよう案内しています。自社の予定を確かめてから、採用直後の仕事と将来の変更予定を求人欄へ分けて書いてください。
背景として、日本商工会議所と東京商工会議所の調査では、2026年7月21日から8月21日に全国47都道府県の会員企業2,654社が回答し、人手不足と回答した企業は60.0%でした。従業員20人以下の企業では、人手不足と回答した企業は49.1%でした。この調査は人手不足の状況を示すもので、求人票の書き方が応募数を増やすことを示したものではありません。募集内容を実際の仕事や配置予定に合わせて伝える準備を進めましょう。 日本商工会議所「『多様な人材の活躍等に関する調査』の集計結果について」
求人を出す前に、採用後の仕事を棚卸しする
求人票を作る前に、採用責任者と現場担当者で次の項目を確認してください。
- 採用直後に任せる業務
- 採用直後の勤務地
- 契約期間中に業務や勤務地を変更する予定があるか
- 変更する場合、その業務や勤務地の範囲
- 有期契約の場合、更新するかどうかの基準と、上限を設ける場合はその内容
採用直後の仕事と変更予定を分けずに「事務全般」「会社の業務全般」とだけ記すと、どの業務が採用直後で、何が変更の範囲なのかが読み取れません。変更範囲に広い業務を含める場合も、採用直後の業務とは分け、自社で予定する範囲に合っているか確認してください。
現場担当者が把握している仕事の流れと、代表者や採用責任者が予定する配置を突き合わせてください。両者の予定が違う項目はそのまま求人欄へ転記せず、配置を決める責任者に戻して確認してください。
採用直後と、契約期間中の変更範囲を分ける
2024年4月1日施行の改正により、募集時に明示する項目として、従事すべき業務と就業場所それぞれの変更範囲、有期労働契約を更新する場合の基準が追加されました。有期契約に通算契約期間または更新回数の上限がある場合は、その上限も明示対象です。厚生労働省の制度案内と厚生労働省のリーフレット
ここでいう「変更の範囲」は、求人を掲載した時点の仕事内容だけではなく、将来の配置転換など、締結する労働契約の期間中に変更する見込みを含みます。業務と勤務地を別々に確認してください。
- 業務内容を変更する予定がない場合:ハローワークの求人情報の入力方法にある業務欄の記載例に沿って、「変更範囲:変更なし」と記入してください。就業場所については、雇入れ直後と異なる場所へ配置する可能性の有無を確認し、その有無に合う選択をしてください。可能性がある場合は「転勤範囲」に変更後の場所を記入します。
- 変更する見込みがある場合:変更後に予定する業務や勤務地を具体的に書いてください。採用直後の欄と変更の範囲の欄は分けてください。
- 予定を確認できない場合:範囲を広く書いて済ませず、配置を決める責任者に確認してから求人票を完成させてください。
有期契約で更新がある場合は、更新の有無だけでなく、更新の条件、上限の有無と内容も実際の契約方針に合わせて確認してください。ハローワークの入力案内では、更新条件がある場合は「契約更新の条件」に入力し、回数や期間に上限がある場合は「求人に関する特記事項」欄に入力すると案内しています。
配置予定を、自社の求人欄へ置き換える
「事務全般」「都内勤務」のような一言から書き始めると、採用直後の担当と、その後の変更予定が混ざります。厚生労働省の記入済み例を、ハローワークの入力欄へ対応させてみましょう。業務と勤務地は、それぞれ別の公式記載例を見比べてください。
業務:「経理」と「法務」を同じ欄の一言で済ませない
厚労省の例は「(雇入れ直後)経理 (変更の範囲)法務の業務」です。採用直後の担当は経理で、法務は変更範囲として示されています。この例を「経理・法務の仕事」とひとまとめにすると、最初から両方を担当する募集なのかが読み取れなくなります。
| 分けて確認すること | 公式例に書かれている内容 | ハローワークで対応する欄 |
|---|---|---|
| 採用直後の業務 | 経理 | 「職種」と「仕事の内容」で、採用直後の担当が分かるようにする |
| 変更後の業務 | 法務の業務 | 「仕事の内容」に、変更後の業務・職種を入力する |
変更範囲の部分は、公式例どおりなら「(雇入れ直後)経理/(変更の範囲)法務の業務」と分けて記載してください。ただし、経理のうちどの作業を任せるかは、この公式例だけでは分かりません。自社の担当作業を確認して「仕事の内容」に具体化し、法務への変更も予定に合う場合だけ記載してください。予定が異なるのに公式例をそのまま転記すると、実際とは違う募集になります。
業務内容を変える予定がない場合は、ハローワーク案内の「変更範囲:変更なし」と記入してください。「法務へは変えない」という確認だけで済ませず、ほかの業務への変更も含めて予定がないか確認してください。
勤務地:「都内」だけでは変更先の範囲が伝わらない
厚労省の別の例は「(雇入れ直後)渋谷営業所(変更の範囲)都内23区内の営業所」です。これを欄ごとに分けると、次の対応になります。
| 分けて確認すること | 公式例に書かれている内容 | ハローワークで対応する欄 |
|---|---|---|
| 採用直後の勤務地 | 渋谷営業所 | 「就業場所」に、採用直後の場所を入力する |
| 変更後の勤務地 | 都内23区内の営業所 | 「転勤の可能性」は配置可能性の有無に合う選択をし、可能性がある場合は「転勤範囲」に入力する |
「渋谷営業所」だけを書けば変更先が見えず、「都内勤務」だけでは採用直後の場所も、23区内という範囲も伝わりません。反対に、この例から「東京都内の全拠点」まで範囲を広げることもできません。公式例にある範囲と、自社で予定する範囲を区別して書いてください。
また、ハローワークの「転勤の可能性」は、引っ越しが必要な異動だけの欄ではありません。入力案内は、求職者の転居を伴わない配置も含め、可能性の有無を選択するよう説明しています。別の就業場所へ配置する可能性がない場合も、その有無に合う選択をしてください。可能性がある場合は、引っ越しの有無にかかわらず、その範囲を「転勤範囲」に記入します。
出典:厚生労働省リーフレット・2ページ目「明示事項の記載例」、ハローワーク「求人情報の入力方法」・3.仕事内容情報
記入例から自社の下書きへ進める順序
- 採用直後に任せる業務と勤務地を、現場担当者に確認してください。職種名だけで仕事内容を済ませず、担当する作業まで書き出してください。
- 配置を決める責任者に、契約期間中の変更予定を確認してください。業務と勤務地は別々に確認し、場所の変更は転居の有無だけで決めないでください。勤務地は、別の場所へ配置する可能性の有無に合う選択をしてください。
- 採用直後と変更範囲を、上の表の対応する欄へ分けて記入してください。予定がない場合の業務欄は「変更範囲:変更なし」と記入してください。
- 有期契約を更新する場合は、更新の判断基準を「契約更新の条件」へ記入してください。更新回数や通算期間に上限があれば、「求人に関する特記事項」に上限を記入してください。
ここで整理しているのは、仕事内容・勤務地の変更範囲と更新条件です。求人票には賃金や労働時間など、ほかの明示事項も必要です。
在籍出向を命じることがあり、出向先での就業場所や業務が出向元の会社の変更範囲を超える場合は、その旨も明示してください。該当するか、求人欄へどう記載するか迷う場合は、求人を提出するハローワークへ確認してください。厚生労働省リーフレット・2ページ目の注記
公開前に求人広告と採用後の条件を照合する
求人票を公開する前に、下書きの各項目を採用責任者と現場担当者の予定に照らして確認してください。次のすべてがそろえば、仕事内容と変更範囲の下書きは完成です。
- 採用直後の業務と勤務地がそれぞれ書かれている。
- 業務と勤務地の変更範囲が予定に沿って記載され、勤務地は別の場所へ配置する可能性の有無に合う選択がされている。可能性がある場合は、変更後の場所が「転勤範囲」に記載されている。
- 有期契約を更新する場合、判断基準が確認でき、上限を設ける場合は設定した上限も確認できる。
- 求人媒体の記載が、責任者と現場で確認した条件と一致している。
- 未確認の予定や空欄が残っていない。
予定と求人票の記載が食い違う、変更範囲を決められない、更新基準や上限の有無・内容が分からない場合は、公開を止め、採用責任者へ戻してください。責任者と現場で予定をそろえた後、求人票の該当欄を直して再確認してください。法令上の扱いや欄への記載方法に迷う場合は、管轄のハローワークへ相談してください。
募集時に明示した労働条件を変更・特定・削除・追加する場合は、変更する条件を求職者等へ明示する必要があります。厚生労働省のQ&A 求人広告のスペースが足りない等、やむを得ない場合は、「詳細は面談時にお伝えします」などと付けて、労働条件の一部を別のタイミングで明示することもできます。この場合も、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。募集情報を提供するときは、掲載した時点を明示するなど、正確かつ最新の内容に保ってください。厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」
パートタイム・有期雇用労働者には労働条件明示の追加事項があり、派遣労働者にも別の定めがあります。この記事の説明だけで個別の適法性を判断せず、該当する雇用形態や条件に応じて厚生労働省の資料またはハローワークへ確認してください。 厚生労働省「求人票や求人広告にはどこまで細かく書かなければならないのでしょうか」
参考資料
- 日本商工会議所「多様な人材の活躍等に関する調査」の集計結果について
- 厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
- 厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」
- ハローワーク「求人情報の入力方法について」
- 厚生労働省「求人票や求人広告にはどこまで細かく書かなければならないのでしょうか」
公開日:2026年11月3日/運営:AI実用ラボ
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